毎日良く降る。天の何処にそんなにたくさんの雨があるの。雨間に満開の芙蓉を見つけた。とても良く咲いている。この花を親爺は大好きだった。一枝折って仏様に供えた。線香を炊いて手を合わせて昔を思い出す。もう56年になる。俺で3代目。初代峰吉は厳しかった。すぎのばぁはとても利口で優しく、穏やかな人だった。中学校を出るまでずっとくっついていた。
二代目源二はいろいろやって急いで死んだ。その妻三代子は夫に先立たれて可愛そうだった。宇一叔父さんは優秀な憲兵だったが戦死した。
生まれて初めて先祖の事を思った。
かしもむら なかしま のりお