









今年の花は全て二週間程早い。小学校の上の法面は今年もたくさんのささゆりが咲いた。
今が満開のもの、まだ蕾のもの、少し開きかけのもの、濃いピンクの元気なもの、超色白でおとなしいもの、双子、三ツ子、四ツ子のものといろいろだ。
暖かい風が田植のすんだ早苗の上を吹き渡り、松林で春蝉が「げーじげーじ」と夏を告げ、時鳥(ほととぎす)が「ほっちょかけたか」と鳴き渡り、箱根空木(はこねうつぎ)が庭を賑わし、山(やま)法師(ぼうし)が谷のほとりで真っ白に染まり、忍冬(すいかずら)が甘いあまい香りで誘い、朴の花が辺り一面を幸せな香りが包む。
寒い冬をじっと耐えてたえて耐え抜いて、やっとの事で春が来て姫踊子草とおおいぬふぐりと出会い、それから順々に、クロッカス、水仙、みつばつつじ、どうだんつつじ・・・が咲く。
5月に入るとそのテンポが上り、更に六月に入ってもう目が離せない。忙しい仕事の合間にやっとの事でささゆりとの付き合いをしている。
かしもむら なかしまのりお