かしも花市場の温室の中では、ミニトマトがぬくぬくと育っている。千果(ちか)、アイコ、フルティカ、オレンジ千果(ちか)、イエローアイコの五種類が、好きずきに育っている。色も大きさも味も全部違って美味しい。皆んな自分の好きなものを採って食べる。採りたてはすごく水みずしくて軟らかい。トマトってこんなにも美味しいものだったのかと思う。
標高六百米の加子母は半世紀前零下二十度にもなった。ずっと暖かくなっても零下十度にはなる。
だから暖房が大変だ。重油ボイラーを据えているが殆どは桧や杉の間伐材を長さ一Mに伐って丸太のまま焚くボイラーで間に合わせている。夕方丸太を一杯に詰めておくと朝まで燃えている。とても安上がりでありがたい。木のボイラーの暖かさは油とは違うと皆んなが言うが、トマトにもそうなのだろうか。
かしもむら なかしまのりお